きつねこの足跡

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ビブリア古書堂の事件手帖4~栞子さんと二つの顔~/三上 延

あらすじ

ビブリア古書堂の店員である五浦大輔はビブリア古書堂の店主栞子さんの留守の間、店を任されていた。黙々と作業をこなしていた彼のもとにかかってきた電話からは耳慣れた声、栞子さんの声がした。けれど話し方や態度がいつもの彼女のものとは違っていて……。

 

 

登場人物

篠川栞子:ビブリア古書堂の店主。本に対する知識が凄まじく、本の話をする時だけ、流暢に話せる。何年も前に家族を置いて出ていった母親のことをよく思っていない。

五浦大輔:ビブリア古書堂の店員。栞子さんの本の話を聞くことが好き。栞子さんに思いを寄せている。

篠川文香:栞子さんの妹で、篠川家の家事全般をこなす。栞子さんとは違ってハキハキしていて活発な性格。あまり性格の似ていない姉妹だが仲は良好。

篠川智恵子:かつて家族を置いて出て行ってしまった栞子さんと文香の実の母親。栞子さんをも超える本への知識と鋭い思考力を持っている。欲しいものを手に入れる為ならば手段を選ばない節があり、恐れられることもある。

感想

これまで一つの重要なテーマだった篠川智恵子が栞子さんに送ったクラクラ日記が、栞子さんの妹文香の手にあったということは前回のエピローグで語られていました。読んでいた身としてはとても驚いたのですが、今作ではプロローグの段階で栞子さんの手にクラクラ日記が戻りました。この辺りはもう少し大切に扱っていくのかなと思っていた矢先、結構な急展開でしたね。

 

これまで長らく探していた本が戻ってきたのも驚きでしたが、今作のプロローグはそれだけに留まりません。なんとプロローグで智恵子が登場しました。正直、生きているのかも私としては自信が無かったので、こんな簡単に出てくるのかと驚きました。これまで何度も智恵子の存在は作中で語られていきましたが、実際に姿を現したことはありませんでした。栞子さんと智恵子との再会の場面も、描かれるとしたら大きな場面になるのかなとも思いましたが、案外さらっと再会していました。

 

今回の依頼は江戸川乱歩にまつわるお宝が隠されているはずの金庫開けてほしいといったものでした。今作はこの謎解きのための長編になっていて、栞子さんと大輔の二人が紆余曲折ありながらも真実に辿り着いていく過程が今回も楽しめました。

 

最後の念願のデートの場面では大きな動きもありました。踏み出した大輔がどう転ぶのか心配もありつつ、今までの彼を見ているとよく頑張ったとも思えるし、本当に今でよかったのかとも色々考えてしまいました。良い方向に進められることを祈って次のお話を読みたいと思います。今回良い雰囲気でデートなんかも出来て、手もつないだりしちゃっていいことばかりだったのもあって少し次の展開が怖いです……。

 

一番好きなシーン

栞子さんと智恵子の最後の会話のシーンで大輔の呼びかけに栞子さんが最高の返しをしてくれたのが本当に良かったです。母親の提案に引き込まれかけていた栞子さんを元に戻せたのが理由が何であれ大輔であったことも嬉しかったです。

 

お気に入り度

★★★☆☆

これまで大きなテーマであった部分の多くを回収したお話だったと思います。面白かったです。大輔と栞子さんの今後が気になる最後でした。

 

あとがき

デートしている場面をもっと詳しく読みたい!と思いながら読んでました。謎解きも凄い読みごたえがあって推理小説としても大好きですが、栞子さんと大輔のかわいいシーンがもっと読みたい……。